第1回 マウスピースとリード

 サックス・プレイヤーにとって永遠のテーマともいえる話題ですが、一概にこれがベストと言えるものはありません。選ぶ上でのポイントは、どんな音楽を演奏するのか?どんな音を出したいのか?というような、プレイヤー本人のイメージ作りがちゃんと出来ているかどうかです。


 リードには大別すると、全体的に硬めで響きの作りやすいフレンチカットと、柔らかめで鳴らしやすいアメリカンカットの二種類があります。
見た目では、表面の木材の樹皮が途中でカットされているものがフレンチカットで、カットの切り出し口まで被われているものがアメリカンカットと思ってほぼ間違いありません。

 マウスピースとの相性は、その名の通りフランス製のマウスピース(セルマーやバンドレンなど)や、樹脂(エボナイト)製の物にはフレンチカットが、アメリカ製のマウスピース(メイヤーやオットーリンクなど)や、メタル製のマウスピースにはアメリカンカットが合います。
どちらも多彩なメーカーによって製造されており使用するマウスピースとのマッチングは試行錯誤しながら模索していくしか方法はありません。また最近では合成繊維(ファイバー)製の物で非常に品質の良いものもあります。


 マウスピースを選ぶポイントは、チェンバーオープニングのサイズです。
 チェンバーとは、マウスピース内部の空洞部の容積のことで、大きいものは、ややダークなサウンドですが良く響き、小さいものは派手で大きな音が出せますが、響きはやや軽いサウンドになります。
 オープニングとは、マウスピースとリードの間に出来る開きのことで、だいたい番号の小さな物より大きな物のほうが広いと思って良いでしょう。
狭いものは音色は明るく息もコントロールしやすいのですが、ボリュームに乏しく、広いものは逆にボリュームは出ますが、音色は少し暗めになり、息のコントロールも難しくなります。
 材質も音色におおいに関係してきます。樹脂(エボナイト)製のものは柔らかく広がりのある音で、金属(メタル)製のものは硬く締まった音がします。

 私の個人的な好みを書くと、広めのオープニングでラージ・チェンバーのマウスピースに、薄めのリードを合わせた良く響くややダークな音、という感じでしょうか?(詳しくは、使用楽器紹介ページを見てください)

 以下に、私の経験上での代表的なメーカーごとの分類をしておきます。

メーカー 音楽ジャンル チェンバー 推奨オープニング・サイズ 推奨リードタイプ 備 考
セルマー クラシック・ポピュラー L C☆〜D、180 フレンチ クラシック奏者の多くが使っています。柔らかい音
メイヤー ジャズ M 5〜7 どちらでも可 ジャズのアルト奏者のほとんどはこれ
オットーリンク ジャズ L 6〜8 アメリカン ジャズのテナー奏者に多く愛用される
ガーデラ ジャズ・フュージョン S〜M モデルごとに固定 アメリカン 今風のサウンド、色々なタイプあり
ビーチラー ジャズ・フュージョン S 5〜7 アメリカン 最近、アルト奏者に大人気
ヤナギサワ(メタル) ジャズ・フュージョン・ポピュラー M 6〜8 アメリカン くせがなく、メタル初心者にお奨め
デュコフ フュージョン S 6〜8 アメリカン サンボーンに代表される、ブライトサウンド
ラーセン ジャズ・フュージョン S〜M 105〜115 アメリカン 近頃あまり見かけないが、テナー、バリトンに愛用者が多い

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