ジェイミーVol.24について

 ゲストブックの中で、ジェイミー・アーバーソルド氏のマイナスワン教則CDの練習方法についての話題が出てきました。この教則CDは使っている人も多いのではないかと思いますが、皆さん独習されていることゆえ、どう練習するのが効果的なのか?疑問を抱いている方も多いようです。
今回はまず最初に練習すべきVol.24「メジャー&マイナー」を取り上げ、私なりの解釈と実際の練習例を書いてみたいと思います。


・日本語版の解説

 現在、このVol.24をはじめ、このシリーズのうち、何冊かは日本語訳の解説ページがついています。しかし、これからアドリブを学ぼうとする独習者がこの解説を読んで内容を把握できるか、という点では残念ながら「いいえ」と言わざるを得ないでしょう。
 この解説は、ある程度のジャズ理論を勉強した人向けに書かれています。また「先生方へ」とあることから分かるように、そもそも誰かに指導を受けることを前提に作られているようです。
 ジャズ精神論も悪くはないのですが、スピリットだけではジャズは吹けません。

・Vol.24の意図

 この本で何を学ぶか?まず音楽的基礎力であるスケールを全調で出来るようにし、メジャーとマイナーのサウンド感を身につける。これがこの本の最大のねらいだと思います。


練習方法
(必ずCDをかけて練習します、バックにサウンドとリズムがあるという認識が大切です)

・メジャー・スケールの練習

  1. まずはメジャー・スケールを全調で吹けるようにします。日本語版のP58を参考に全音符から始めて下さい。
  2. 次はスケール内の3度の練習です。同じくP58〜59の要領で進めます。ダイアトニック・トライアド(スケール内の3和音)と、3つの音の順次スケール練習まで出来るようになれば、テクニック的にも大きな進歩が出来るでしょう。

譜例は8分音符なども出てきますが、基本的には4分音符が出来れば充分だと私は考えています。この過程で重要なのは楽譜を書かずに、頭の中を最大限に働かせ一緒に唄うようにして運指と今スケールの何番目の音を吹いているのかを同時に認識することです。

・マイナー・スケールの練習

メジャーが出来るようになったらマイナーも同様に練習していきます。この本の指定ではマイナーは全てドリアン・スケールでと書いてあるのですが、ここで私は自分の生徒にはまずナチュラル・マイナー(平行調のメジャー・スケールの展開形)からやらせています。ドリアンはカッコいいのですがアドリブ初心者にはいきなりモードという概念が理解できないのと、頭の中で混乱をきたすためです。

・ペンタトニックの練習

ここまできたら、次の段階はペンタトニックをマスターして、音を吹く順番や組み合わせを変えたりしながら、簡単なフレーズを作る練習をしていきます。このコーナーで今まで書いた「アドリブ入門講座」を参考にして練習してみて下さい。

・発展練習〜慣用句の練習

P24〜39にジャズで良く使われるフレーズ例が「慣用句」として掲載されています。これらは順番に吹いて練習するのではなく。ひとつのフレーズを覚えたら、全部のキーで練習していきます。この場合も楽譜を書かずに、頭の中でキーを変える作業を行ってください。この練習をすることによって柔軟な調性に対するメロディー感を養うことが出来ます。この練習をする時にトラックNo.15や30などを使用するわけです。

・ジェイミーのアドリブ例

これは純粋に練習曲としてとらえて頂ければ良いと思います。この楽譜通り吹ければあなたは素晴らしい読譜力の持ち主とテクニシャンであることは疑いの余地もありません。是非チャレンジしてみて下さい。


というように私が実際にレッスンする時に指導している内容を書いてみました。もちろんこれ以外にもさまざまな活用法が考えられます。買ってはみたもののあまり使っていない方も多いのではないかと思いますが、非常に有効な教材ですので是非活用されることをお薦めします。

実際の私のレッスンの中ではこれ以外に、私VS生徒さんの4小節ごとのフレーズの耳コピー合戦や、4バースバトル、などをかなりの時間をかけて行います。

アドリブの基本はやはりスケールの把握だと思います。これ以外にも難しいオルタードなどのスケールもありますが、まずはメジャー・スケールがきちんと吹けること、それが第一です。頑張って練習しましょう。遠回りに見えるような地道な練習が、実は一番早い上達法であったりすることもあるのですから!


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