”リメンブランス”渡辺 貞夫コンサート’99

場所:京都ライブスポットRAG
日時:6月21日(月) 9:30〜 2ndステージ

渡辺 貞夫(As)、
サイラス・チェスナット(P)、
ローランド・ゲリン(B)
テレル・スタッフォード(Tp)、
ロドニー・グリーン(Ds)


 私の自宅レッスン生の中村 元さんから渡辺貞夫さんの最新ライブのレポートを送って頂きました。中村さんありがとうございました。他の方のレポートも歓迎致しますのでどしどしお寄せ下さい。
 なおこの記事に関するご意見ご感想は、ゲストブックへお願い致します。


 今回のライブは今年5月に出た新譜“リメンブランス”(通算60枚目のリーダーアルバム)の発売記念ライブです。1st、2ndと2ステージの構成で僕は2ndステージを見に行きました。平日の夜遅くにもかかわらず、たくさんのお客さんでした。貞夫さんはステージ開始前の少し空いた時間に客席の後ろの方にいらして、気さくにお客さんと話しをしたり、サインをしたりしていました。僕は中学生の頃から(アルバムで言うとカリフォルニア・シャワー)の貞夫さんのファンでずっと今も追い続けていますが、こういう姿を見るのは初めてでした。関西のライブハウスに来られることは少ないので、このような光景を見られたのはとてもうれしかったです。でも僕はとてもお話しにいくことは出来ませんでした。ファン心理として“距離をおいておきたい”という気持ちがどうしてもあります。そんな複雑な気持ちでいる中、時間も9時30分をまわりいよいよメンバーの登場です。

 今回のメンバーは今ニューヨークで活躍中の若手ばかりです。僕はサイラス・チェスナット(P)しか知りませんでしたが(彼は今回の新譜にも参加しています)、何とDsのロドニー・グリーンは弱冠二十歳です。貞夫さんは“米にはこういう若手で素晴らしいミュージシャンが突如ポンと出てくる”とおっしゃていました。

でも本当に貞夫さんは昔からこういう若手の人とどんどんやっていくのが好きなんですね。現在も第一線でガンガンやっていけるのはこういう気持ちを持ち続けているからなのでしょうね。(偉そうなことを言ってしまいました。ゴメンナサイ。ちなみに余計なことかもしれませんが貞夫さんは今年で66歳になられました。)

 曲は全てスタンダードなジャズで(こういう言い方が正しいのかよく分かりませんが・・・)そのうち今回の新譜からは2ndステージのためもあってか2,3曲ぐらいでした。

今回のライブツアーはまだ始まって間もなく、京都RAGは2場所目で貞夫さんは、“まだ曲がこなれていない分勢いで何とかカバーします。”と言われてましたが、まさにその通りで、メンバー全員すごいパワーです。若さにまかせてといったところはありますがすごく新鮮に聞こえました。その中でサイラス・チェスナット(P)はとても繊細なタッチで弾いていたと思います。ソロのフレーズも斬新に聞こえました。さすが今注目されているミュージシャンだなと思いました。

 曲目は全て分かりませんでしたがパーカーの“KO-KO”をやっていました。強烈なテンポですさまじかったです。僕と貞夫さんとの距離は3mぐらいしかなかったのでPAがないのも同然です。貞夫さんはどんなにテンポが速くなっても一つ一つの音がとてもクリアです。でも貞夫さんは自分の演奏にはちょっと不満だったのかソロが終わった後ちょっと首をかしげていました。貞夫さんはいつも膝を軽く曲げ、背中をやや後ろにそらせながら演奏します。これがたまらなく格好いいです。僕も真似してやったりするのですが、30分もすると足がガタガタになってしまいます。

“KO-KO”の次は一転してバラードです。

 “EVERYTHING HAPPENS TO ME”恐らく貞夫さんの好きなナンバーだと思います。僕も何度となく聞いていましたが、生でこの曲を聞いたのは初めてです。本当に貞夫さんのバラードは絶品です。何とも言えぬやさしい、どことなく懐かしい響きがあります。個人的には現在世界中のAlto吹きでバラードについていえば最高のレベルじゃないのかなと思っています。全部で10曲ぐらいでしょうか。時間が経つにつれ他のメンバーも笑顔、笑顔です。最初ステージにあがったときは顔がとてもこわばってるように見え、ちょっとおっかないイメージがあったのですが、特にテレル・スタッフォード(Tp)はそれはもうご機嫌さんでした。11時をまわり演奏が終わりステージから降りてくるとみんな握手攻めです。僕も全てのメンバーの方に握手してもらいました。

 毎回貞夫さんのライブにいって思うのは本当に幸せな気分になれることです。家に帰ってほっと一息ついたところで“今日のライブは良かったなあ”と感じられるライブでした。皆様も是非一度行かれてみてはどうでしょう。


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