江藤良人トリオ・ライブレポート

高田馬場HotHouse
99年9月23日(祝)

江藤良人(ds)
川嶋哲郎(ts、ss)
杉本智和(b)


 今回は、先日仕事で東京へ行った際に聴きに行ったライブのレポートですが、半分はその日の私の日記のようになってしまいました。世界最小のライブハウスでの川嶋哲郎さん、ビックリしました。


 9月23日、翌24日の朝からの東京での仕事のため午後の新幹線で上京。この日はキャノンボール・あ・誰さんとすでに約束を取りつけてあり、夜一緒に誰かのライブを見に行こうということになっておりました。
 いったん目黒のホテルに16時頃チェックインしてあ・誰さんに連絡。彼女はこの日昼間に行われていた宮哲之(ts)さんと中島徹(pf)さんらの出演するライブに顔を出しているとのことで、夕方待ち合わせをする事になったので、私はイシモリとDACをのぞきに新大久保へ。イシモリでのお目当てはオールドのセルマーのソプラノのマウスピース(DかE)でしたが、C*が一本だけしかなかったので(私はオールドのC*は2本持っている)オリジナル・リードのアルトの2半を10枚だけ購入。テナーの3番も欲しかったのですがあいにく品切れ。そのままDACへ、こちらでも特に目を惹かれるものがなく、うろうろしているところへあ・誰さんから電話、今新大久保へ向かっているとのことで、それは好都合とDACの前で待ち合わせ、そこへなんと近藤和彦(as)さんの車に乗ったあ・誰さんが登場。
 そのまま腹ごしらえをするために3人で新大久保駅前の蕎麦屋へ行き、短い間でしたがいろんな話をしました。

 この日、ライブの候補が2〜3あり、どこへ行こうかという話で、私が実は川嶋哲郎さんをナマで聴いた事が無いというと、近藤さんが「それじゃあ、ナマで聴いたら多分ビックリしますよ!」という一言に心動かされて高田馬場HotHouseに行く事に決定。しかし、近藤さんもあ・誰さんも行ったことがないということで、のちほど電話で調べる事にして、友人のライブを高円寺に聴きに行くという近藤さんと握手してお別れして高田馬場へ。

駅前の書店でJazzLife誌でHotHouseの電話を調べ、場所を尋ねると私達の降りたBigBox方面とは反対側でもう一度駅方向へ戻ってガードをくぐり、まっすぐ10分くらい歩いたボーリング場の向かいだとのこと、歩き出すとどんどん人がいなくなり、こんな所にライブハウスがあるのか?というさみしい所へ、しかし、ちゃんとありました。しかも派手なネオンもついている。「半径3メートル、世界一小さなライブハウス、至近距離でお楽しみ下さい」というような内容(だったと思う)が流れていました。

地下に下り、扉を開けるとママさんと川嶋さんがいるだけ。川嶋さんはまさに楽器を取りだし、ウォーミングアップをする所だったとみえて、私達のためにテーブル上のケースを片付けてくれました。というのも店はテーブルが二つあるだけ、10人も入ったら超満員。そしてなんとテレビで巨人-阪神戦が写っている。「何なんだここは?」と頭の中で?マークが飛び交ううち、ベースの杉本さんやドラムの江藤さんも到着私達の目の前で楽器をセッティング。川嶋さんは目の前で「パラパラ〜、ズズズズ〜」とテナーとソプラノを吹いている。そうこうしているうちに開始予定の20:30を回るが、いっこうに始まりそうな様子もない。なんせ5〜6坪くらいの店内なので、話声も皆に聞こえてしまうわけなので、ミュージシャン同士の会話もなにもみなまる聞こえ。私もあ・誰さんもしようがなく、テレビの画面を見つめる。そのうちお客さんも集まりだし、8人くらい入るともう満員状態。しかし若い女性客ばかりで、なんとこの時点で男は私一人だった。

21時くらいになり、この日の巨人の勝ちが見えてきたところで、「それじゃ!」の江藤さんの声でやっとライブが始まった。

 曲目は詳しくはメモを取らなかったのではっきりは覚えていないのですが、「Take The Coltrane」などの割とスタンダードな曲やバラード、モード物など取り混ぜて約1時間のステージでした。

川嶋さん、近藤さんの言われる通りビックリしました。上手い!ソロの組み立てが素晴らしく、コード楽器がいないのにきっちりサウンド感を感じさせながら、ぐんぐん盛り上げて行きます。多分50年代後期のコルトレーンをだいぶん研究されたのではないか?と思われるスピード感あふれるフレージングが多いような気がしたのですが、完全に自分の物にしてしまっている感じで、歌心もあり、音も太い。マウスピースはヤナギサワ・メタル、最近オットー・リンクから変えられたようです。まるでロリンズとコルトレーンを足して2で割ったような音色で良く響いていました。低音域はサブトーン主体で中高音は細くならずに低音の柔らかいイメージのままで上まで上がっていっているような感じでした。

HotHouseは小さな店なので、全ての楽器がナマです。マイクやアンプなどは一切使いません。このためベースがやはり少し聞き取りにくく、全体の音のバランスは決して良いとは言えませんでした。
しかし、江藤さん、杉本さんのお二人も堅実なプレイで安定感もあり、聴かせるところはしっかり聴かせて、息のあったコラボレーションが展開され全体としては素晴らしいトリオだと思いました。

小さい店ながらも、毎日一流ミュージシャンが出演し、お客さんとも友達のように気さくに話しながら本当に至近距離で演奏を聞くことができるということで、常連さんも多いということでした。ママさんも明るく気さくな方で、しゃべりかけてきてくれます。

皆さんも、一度行ってみて下さい。

HotHouseのホームページはこちらです


Prev jazzのホームへ 次のページへ
前のページへ Jazzページのトップへ 次のページへ