佐藤達哉テナー・サミット
in
大阪梅田ロイヤルホース
99年10月11日(祝)

佐藤達哉、小池修、右近茂、安保徹(Ts)
青柳誠(Pf)、早川哲也(B)、小島勉(Ds)


 一流プレイヤー4人が揃った待望のテナー・サミットを関西でやっと聴く事が出来ました。以前キャノンボール・あ・誰?さんが新大久保「サムディ」版をレポートしてくれましたが、今回は私がレポート致します。噂にたがわず素晴らしいライブでした。近年私が聴いた中でも最も深い印象に残る事となりました。尚、ご意見、ご感想はゲストブックへお願い致します。


 前日の京都ラグのライブを終え、この日の昼間、肺ガンの手術後、意識障害を起こされて入院中の松本英彦さん(小池修さんの師匠である)を励ますコンサートを、松本さんの入院されている東大阪市内の病院で聴衆150人を前に約2時間演奏されたというサミットのメンバーの方々、濃厚な2日間の最後となったロイヤルホースではまとまりの良い素晴らしい演奏を聴かせてくれました。

1st Set 2nd Set
1. Cidar's Blues 1.りんご追分
2. Sukiyaki 2. Danny Boy
3. Body and Soul 3. Third Scene
4.ズリズリ 4. Darn That Dream
  5. In A Sentimental Mood
  6. Quantum Leap
  アンコール
オルフェのサンバ

曲目はほぼ「サムディ」と一緒でしたが、川嶋さんと右近さんが入れ替わっている為、1部のバラード「Body and Soul」は小池・右近チーム、2部の「Darn That Dream」は佐藤、安保チームと組み合わせが変わっていました。

 関西に住んでいると東京で活躍されているミュージシャンをナマで聴く機会はほとんど無いといっても良く。4人ともナマで聴くのはこの日がはじめてでしたが、まずビックリさせられたのが各人のスタイルがまったく違うということ。佐藤、小池両氏は共にユダヤ系スタイルをベーシックに持つものの、音色がまったく異なり、佐藤さんのどっしりとした太い音に対して小池さんの芯の強い明るいヌケた音(しかも音圧が高くユニゾンなどでもハッキリと聞こえてくる)はまったく対照的だったし、右近さんは吹いている姿はアル・コーン、音色はスコット・ハミルトンを彷彿とする正統派スイングテナー、安保さんはちょっとモダンがかったズート・シムズという感じ。
とはいえ、各人とも自分のスタイルが確立されているため、モロの「誰それのフレーズ」というような借り物のフレーズは出てこない。みんなが自分の言葉でしゃべっている。さすがトップ・プロは違うな〜!とプロとして同じ土俵にいるはずの私自身が妙に感心してしまいました。

 そして、皆がお互いを認め合い、信頼しあって演奏している、という感じがひしひし伝わってきました。誰かがソロを取っている時には、それ以外の人がみんなくいいるように見ていたり、目を閉じてじっと聴いていたり、ビックリして目を丸くしたり、というように演奏しているメンバーそれぞれが演奏を楽しんでいる感じがこちらまで伝わってきました。

 この日は特に右近さんが大活躍。「ズリズリ」では、ソロの最中佐藤さんがリズムセクションを突然ストップ、まったくのアカペラで延々続くソロは大拍手を得ていましたし、フィーチャー物の「Danny Boy」では渋いメロディーソロが展開されました。

 そしてなんと2部の途中で、この日わざわざ東京からこのライブを聞くためにかけつけた「キャノンボール・あ・誰?さん」を佐藤さんがステージへ呼び出し、突如「 In A Sentimental Mood」を共演するというハプニングも飛び出し、この日のお客さんは大変ラッキーだと言わざるを得ない状態と化していったのであります。

 面白かったのがメンバー紹介、なんと使用楽器やマウスピース、リードのセッティングまで紹介してくれていました。ご参考までに、佐藤さんはアメセル6万番台にオットーリンクメタル10*、この日はラヴォーズのMHを付けている、との事。小池さんはアメセル22万番台にガーデラのブレッカーI、リードは例によって秘密。安保さんはコーンのチュー・ベリー・モデルにオットーリンクメタル10、リードはバンドレン。右近さんも楽器はコーンのチュー・ベリー・モデル(シルバー)にオットーリンクのラバーの7*、リードはリコーとのことでした。また3人の関西出身のリズムセクションも非常にコンビネーション、ソロプレイとも上手く堅実なサポートでした。

アンコールは松本英彦さんのソロを青柳さんが完コピしてハーモナイズしたという、真っ黒な譜面(右近さんが客席にアピールしていました)。この日の昼のコンサート用にアレンジされた物とのことでした。回復を心よりお祈りしたいと思います。

まったく飽きる事の無いあっという間の2ステージでした。いやもう大満足!
おまけに私は打上げまで参加させて頂き、佐藤さん達と2時近くまでいろんな話をしながらご一緒させて頂きました。ありがとうございました。
いや〜、テナーサミット、目が離せません。皆さん、是非機会があれば聴きに行って下さい。


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