マイケル・ブレッカー in 大阪ブルーノート

2000年2月26日(土)
2nd Set

マイケル・ブレッカー(Ts)
ラリー・ゴールディングス(Org)
アダム・ロジャース(Gt)
アイドリス・ムハメッド(Drs)


 行ってきました!ブレッカーと言うわけで、興奮の冷めないうちに簡単にレポート致しましょう。

今日の大阪は雪模様で大変寒い中、店の表までの長い行列、改めて人気の程がうかがえます。客席もすし詰め状態で、予定時間を少し押して開演致しました。
予想通り最新アルバム「TIME IS OF THE ESSENCE」のサウンドのライブ版を聞く事が出来ました。「TIMELINE」「RENAISSANCE MAN」などやはりナマで聴く方が数段インパクトがありました。

 特筆すべきはやはりオルガンのラリー・ゴールディングスでしょう。ベースレスのカルテットで延々足鍵盤でベースを弾きながらの演奏、実際に見ると物凄いテクニックとセンス、感服しました。長い曲だと20分にも及ぶ間、体全体を酷使しての熱演でした。
 アダム・ロジャースは堅実なスタイルの超絶テクニシャン、セミアコのES-335プラス、ブギーとマーシャルのボトムの組み合わせが印象的でした。ラリーとコードがかち合わないように、細心の気配りをしていた様子でした。
 アイドリス・ムハメッドはちょっと変わったスタイルですが、良く歌うドラムでした。独特のグルーブ感があり心地よいドラミングでした。

 さて、肝心のマイケル・ブレッカーですが、やはりスゴイ!の一言に尽きます。相変わらずのオルタネート・フィンガリング、フラジオ炸裂、オーバー・トーン列を駆使したトリッキーなプレイなど、ライブならではのサウンドでした。今回気が付いた事は、どうも最近はいわゆるお決まりの手癖のフレーズを再構築しているような印象を受けました。
 もちろん、昔からの「おっ、出たな!」的なクロマチック・アプローチのフレーズは多いのですが、「ほーっ、そういくか?」というフレーズが結構多く、改めて感心させられました。常にフレーズを練習し、分解し、新しい可能性を追求しているような感じを受けました。
 音色も心なしかまた太くなっているようなイメージを抱いたのは私だけでしょうか?
ただ、毎回白熱したプレイと超絶技巧を駆使しているためか、時々フラジオが同じ音でも何回も当たらずに意地になって吹いてみたり(これは珍しい)、唇を押さえたり、というしぐさがあり、ちょっと気になりました。もちろん、そんな事は音楽の中身とは全然関係ない事で、大変素晴らしい演奏でした。

途中、4曲目に昨年の大阪ブルーノートで私の見たセットで演奏していた。「ラウンド・ミッドナイト」をやはりアカペラソロで演奏し、途中からラリーが絡む、という演出もありました。途中昨年聞いた時と同じ様なアルペジオパターンを挿入していましたが、基本的には曲に対して全く違うアプローチをしていて改めてアイディアの豊富さを感じました。

 オルガンという楽器のサウンドが、彼を燃えさせるのでしょうか?CD紹介でも書きましたが、彼独特のファンキーなフィーリングが随所に聴くことが出来、大変満足したステージでありました。
 これから、東京、福岡でお聞きになる皆さん、絶対損はしません。是非期待してお出かけ下さい。まさに今のテナー・シーンを引っ張っているのはこの人でしょう。益々目が離せないです。

ちなみに演奏は全5曲、約80分、アンコールはありませんでした。


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