尾田悟&安保徹テナーバトル

2000年3月10日(金)
原宿Keynote

 ゲストブックにもちょくちょくご登場頂いている渡邉さんから、尾田悟さんと安保徹さんのConnTenorコンビのライブレポートを頂きました。渡邉さん、ありがとうございました。
皆さんのご投稿もお待ちしております。この記事に関するご質問やご感想はゲストブックへお願い致します。


2000.03.10 Keynote で行われた 尾田さん 安保さんのテナーバトルを紹介します。

実は、当日、尾田さんが紹介されていたのですが、熱烈なファンの人(いソノてルヲさんが経営されていた自由が丘の店からのファンのようですので、相当年季が入っていますね。私などはヒヨッコファンです)が作られているページがあります。
ステージで、尾田さん曰く:
「最近は、インターネットっていうですか?。自分のようなものにはまったく判らない世界なんですが。孫が『じいのことが載ってるぞ』とみつけてきまして。見ると自分より詳しく自分のことが載ってるんですね。まあいいかと」
サーチエンジンでやっと見つけました。文末に URL を載せますので、写真など詳しいことはそちらを参照してください。

先日の4テナーのときのように、7:00くらいに始まって2ステージかな?と思っていたら7:20を過ぎたあたりで音が出て C Jam Blues が1曲目。
尾田さんは、もう10年くらい前からエリントンナンバがお気に入りで、神戸JAZZストリートなどでも初期のころから随分とエリントンナンバーを演奏されていました。
前回の4テナーの時は、風邪をひかれていたようで調子も今一でしたが、その数日後のスイングシティ@銀座で右近さんとのバトルを聞いてホッとしたのが思い出されます。

今回は、カンサススタイル万歳といったジャムセッション的な雰囲気で、尾田さんも例の無視するような黙々と吹き始めるスタイルで聴衆を煙にまくといった感じです。

1st (7:20 - 8:00)
1) C Jam Blues
2) In a merrow tone
3) Cottontail
4) In a sentimental mood

「ちょっと短いですが、時間の関係で、このステージは終わります」という尾田さんのMCで、このステージは終了。曲目は、いずれも、オーディオパークからのCDに収められているものですね。尾田さんも安保さんもご機嫌です。
安保さんの、こういうカンサススタイルの演奏を聞くのは、私も久しぶりで、本当に得をした気持ちになりました。

2nd (8:30 - 9:30)
1) Tenor Madness
2) Softly as in a morning sunrise
3) There will never be another you (by 安保)
4) 同じ (by 尾田)
5) Scrap from the apple
6) Five spot after dark
7) Stardust

2) は、ファンの人からのリクエスト。2) が終わって「ここで打合せしてないですが、おい、安保、another you 演れ」といって、尾田さんはステージを降りました。
「あれ、今日は、音も良いし、何か具合でも悪いのかな?。でも、最近になく、水割りのグラスも進んでいるようだけれど・・・」と気にしながら、安保さんの豪快でアップテンポな曲に聞き入っていました。この曲は、あの4テナーのCDの中で私が好きな1曲なのでなおさら。で、曲が終わると、尾田さんが「じゃあ、今やった曲を、今度は私が演ります」とミディアムスローで始めました。どっちも良いです。甲乙つけがたいとはこのことです。
6) は、尾田さんが、以前にCMに使われたので「アリナミン」といって紹介することが多いですが、ご機嫌な曲ですね。自由が丘の店のテーマ曲だったそうです。

3rd (10:00 - 10:50)
1) Lester leaps in
2) There is no greater love
3) All the things you are
4) Body and soul (by 安保)
5) Bules up and down

2) は、私がステージの合間に、安保さんにリクエストした曲。尾田さんが Hank Jonesと共演で出した映画などのムード系の曲を収めた4枚のCDの中で一番好きな曲。
4) は、尾田さんが「おまえ、バラードを演れ」と言ってステージを降りて。最後は、バトルといえばこの曲ですね。
たっぷり3ステージを楽しむことが出来ました。

オーディオパークから出た4テナーのCDが出てから、尾田さんは、三木さんとは(今は無き)DUG @ 新宿で、また、右近さんとは Swing City や Keynote で何度かバトルを演っていたのですが、何故か安保さんとはなかったのです。以前に、安保さんに「尾田さんと是非!」と話すと「楽器屋やCD屋では会うんだけれどねぇ、尾田さんとは」とずっと話されていたので、長年の夢がかなったファンの一人としては、最高に嬉しい。
そして、何よりも、尾田さんの状態がとてもよいのがファンの一人として嬉しい。

尾田さんの音は、今更説明する必要もないですが、枯れたという表現がぴったりの渋い味のあるサウンドです。対して、安保さんは艶があって太く、甘く渋いという独特の音です。

安保さんを色々なところで聞いていますが、彼の調子の悪いというのを聞いたことは殆どありません。まず、99%良い音です。彼のバンド(最新のCD)では、ハードバップスタイルを、寺下さん(p)のバンドでは、よりモダンなバップを、そしてこの尾田さんとはカンザスをと、実に柔軟に、そしてダイナミックに彼の演奏を縦横無尽に聞かせます。尾田さん曰く「彼のテナーは歌うんですよね。沢山の音を出すなんてのは、それこそコンピュータの方が勝つに決まっているのですが、こういう歌うっていうのはなかなかいないんです」

この日の楽器のセッティングは、両者、普段どおりです。尾田さんは、コーン (30Mかな?)。マウスピースはハードラバーで、リードはアメリカンカットのようです。
対して、安保さんは、チューベリーのシルバー。マウスピースは OttoLink で、リードはバンドレンの2番。

ステージでは、尾田さんが「ヨーロッパの連中は、みんなアメリカに憧れてリードはリコ系なんだよ。逆に、アメリカの連中は(安保さんの方を指差して)おまえのやつ(フレンチカット)なんだよ」。「何故かサックスというとみんなセルマで、今から10年くらい前は、コーンを使っている奴は誰もいなかったんですが、こんな頼もしいのが出てきました。ヨーロッパの奴らも、みんなコーンを追いかけているんです。」

おまけ:
先月号(2000.03)の JAZZ LIFE に石森管楽器の広告で Conn チューベリ(28万円)がありますが、これがとてつもなく良い楽器だったそうで、安保さんが「今、自分が吹いている楽器よりも古いしリラッカーだけれど、良い楽器なの。自分が買おうかなぁと思っていたら、買いたいという人がいたので『セルマと比べてキーの操作が大変だよ』とか言ったにも関わらず売れちゃった」と話されていました。

ステージの合間に、今度、安保さんのレッスンを受けられる生徒さんを紹介されて色々と話をさせてもらいました。彼は、大学時代、軽音楽部でやっていたが、随分とブランクがあって、ここでサックス再開だそうです。なんでも楽器はセルマーを持っているが、タンポとかぼろぼろでオーバーホールに出すと高そうだし、安保さんがセルマは嫌いだとのことで、B & S のテナーにされたそうです。
安保さんのファンということで当然ながら音楽の趣向が同じで嬉しかった。Wardel Gray や Bobby Hackett で会話が成立するなんて(うるうる)

関連 URL

1) ファンの方が作られている尾田さんの情報を含むページ

2)当日のライブのレポート

3)キーノート

4)オーディオパーク


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