渡辺貞夫グループ2001、
増崎・青木・本田プロジェクト

 久しぶりに私の自宅レッスン生の中村さんからライブレポート2題を送って頂きました。中村さんどうもありがとうございました。皆さんも足を運ばれたライブの感想などを送って下さい。このコーナーでどんどんご紹介させて頂きます。
尚、この記事に関するご意見、ご感想は
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渡辺 貞夫グループ 2001

場所:神戸チキンジョージ
日時:4月28日(土) 7:30〜

渡辺 貞夫(As)、小野塚 晃(Pf、Key)、梶原 順(G)
納 浩一(B)、本田 珠也(Drs)、スティーブ・ソーントン(Perc)

貞夫さんの神戸チキンジョージの登場は約3年ぶりでしょうか。メンバーはDrsの本田 珠也さんを除いては、もう貞夫さんのグループではお馴染みの面々です。本田 珠也さんは今年のツアーから初めて参加で、ご存知の方は知ってらっしゃると思いますが、ピアニストの本田 竹廣さんのご子息で、貞夫さんとは伯父、甥の関係にあたります。(お母様がチコ本田さんで貞夫さんの妹です。)実は今回のツアーの始まる1週間前ぐらいに、貞夫さん左手の甲をあやまってころんで剥離骨折してしまったみたいで、ツアーの最初の頃は左手を添え木で固定しながら演奏していたようです。そのこともあって非常に心配していたのですが、見たかぎりもう包帯もとれていたようでした。
で、演奏の方はというと、そんな心配もどこへやらこんなに吹きまくっている貞夫さんを生で見るのは初めてでした。とにかく吹きまくっていました。今年で68歳(デビューして50周年と聞いています。)になられましたが、はっきりいって信じられなく見て圧倒されてしまった感じです。
楽器も去年あたりからスーパーアクション80からシリーズUに変えたようで(もちろんGP)去年
聞いた感じではちょっと鳴りが軽くなったかなという印象があったのですが、今回はそういう感じよりもむしろ楽器がよく鳴っているなという感じを受けました。微妙な言い方の違いですが、とにかく体と楽器が一体となって音が出ているという印象を受けました。

曲目は最近の貞夫さんのライブではめずらしくジャズのストレートアヘッドな曲はなく、アントニオ・カルロス・ジョビンの2曲を除いては全て貞夫さんのオリジナルばかりで、ぶりぶりバップを吹きまくる貞夫さんも見てみたかった私としてはちょっと残念でしたが、そのためかベースの納さんもウッドは使わずに、エレクトリックばかり使用していました。貞夫さんのアフリカンビートっぽい曲にはその方が合うのかなと聞いてて思いました。
バラードは言うまでもなく本当に素晴らしいのですが、毎回聞いて思うのですがビブラートのかけ方が自然な感じでかかっていて、喉の開け方、タンギングのあて方も細かいところに気をつけているんだなと、本当に職人芸のようです。
バンド全体のサウンドも気心しれたメンバーですからグルーブ感も素晴らしかったです。
スティーブ・ソーントンのパーカッションは何せ音がデカくバンドのビートを作っていくには欠かせない存在でした。本田さんも納さんもうまく合っているようで、本田さんは初めて聞いたのですがそんなにでしゃばらず、とにかくノリのいいドラムというのでしょうか聞いててすごく心地よかったです。
小野塚さんはスリリングなフレーズをところどころに展開していて、バンドに緊張感を与えている感じを受けました。ギターの梶原さんはメンバーの中では一番古く、貞夫さんのグループでは過去を見ても珍しくもう10年以上もやっています。僕は今、日本のギタリストで梶原さんが一番好きなんですが、バッキングが素晴らしく本当に支えているという感じです。でもいったんソロになるとブルージーなフレーズでアグレシッブなソロを展開してくれます。

お客さんもテーブル席以外にも、立ち見もあったりして、時間にして2時間ぐらいですか、アンコールも2回あり、とにかく聞いていて元気にしてくれるライブでした。


増崎・青木・本田プロジェクト

場所:京都ライブスポットRAG
日時:5月1日(火) 7:30〜

増崎 孝司(G)青木 智仁(B)本田 雅人(Sax、fl)
村上 “ポンタ”秀一(Ds)友成 好宏(Key)

 RAGに着いたのは6:30頃だったでしょうか。ビルの5Fにあるのですが、既に1Fの階段から長蛇の列で、あまりの人の多さに圧倒されてしまいました。さすがこれだけ人気のある人が出るとなるとこうなんだなと思いました。RAGにはこれまでも何回か行ったことがあるのですが、こんな人が多かったのは初めてです。中に入るとあいにく立ち見となってしまいました。
本田さんのSAXを目当てにしていたのはもちろんですが、それ以上にポンタさんのDrは僕は初めて生で聞くこともあり、すごく楽しみにしていました。そのポンタさんですが、3月頃ニューヨークへレコーディングに行っていたときに、むこうで肺炎になって入院していたそうです。それで今日は出れるのかと少し心配していたのですが、見事に元気な姿を見せてくれました。
そのポンタさんのDrですが、なんせ音がでかく、重い。これまでにこんな大きい音のDrを近くで聞くのは初めてです。でも1つ1つの音がはっきりと聞こえてくる。ノリといい“ああこれがプロの音なんやなあ”と感激してしまいました。
青木さんのベースの音も重く、バンド全体として重厚なサウンドでDrに比例して音が大きく(ちょっと爆音に近かった(笑))、Drでバンドの音がきまっちゃうのかなと思いました。個々のテクニックは言うまでもなく素晴らしいのですが、バンドのサウンドとしてはロック色の強い健康的なフュージョンと言った感じでしょうか。

本田さんのSAXですが、以前、青木さんのプロジェクトで“タワー・オブ・パワーナイト”と題し、タワーオブパワーのコピーばかりをするバンドで、そこでバリトンだけ吹かれてたのを聞いたことがあります。今回はアルト、ソプラノです。アルトは雑誌とかでも見たかぎりマーク7だと思います。
音の印象としては、これまでCDでは何度も聞いていたのですが、こんなに太い音だとは思わなかったです。イメージとしてはもう少し線が細い印象を持っていたのですが・・・。ちょっとイメージが変わりました。やっぱり生で聞かないとわかりませんね。
テクニックは予想通り、空いた口が塞がらない状態で、特にフラジオの音域のコントロールが本当に見事で、“何かこの人だけは別の楽器使ってるんとちゃうか”なんてことも思ったりして聞いていました。曲によってはマウスピースをメタル(多分ヤナギサワ?)とハードラバー(メーカーは何かちょっとわかりません)を使い分けて使っていました。この人は音色といいやっぱりフュージョンが一番似合うのかなと思って聞いていましたが、ジャズっぽいのはどう演奏するのだろうかと生で一度聞いてみたい感じもしています。
ライブは2部構成で10:30頃終わったでしょうか。時間も忘れさせてくれる演奏で、かつMCも面白く、今回僕にとっては初めてづくしのライブで、本当に楽しませてもらいました。


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