第3回 リードを選ぼう

 サックスを演奏する上で大切なことの一つに、発音体であるリードを選んでマウスピースに取り付けるという作業があります。
 これを今読んでいる皆さんは、どんなふうにリードを選んでいるのでしょうか?
「箱から出した順に使っている」と言う人はいませんか?それでは駄目です。
リードは個体差がはげしく、同じ箱に入っている同一の硬さのリードでも1枚ごとの鳴りが全然違うものです。

「腕を疑う前に、リードを疑え!」
「常に良いリードを使用する!」
「1枚のリードを長期間使わない!」
これが上手くなるためのリードの三原則です


 以下に私の手法を紹介します。

  1. 買ってきたリードの箱をあけ、全部のリードを水道水で湿らせます。
    一枚づつ口で湿らせても良いのですが、面倒くさいので水道の蛇口から直接水をかけています。(コップに水を入れて浸している、という人もいます)
    リードは湿っている状態ではじめてちゃんと振動します。

  2. 一通り全部のリードを試奏して(1分くらい)大まかに、良い、まあまあ、ダメ、のように三段階くらいに分ける。

  3. もう一巡吹いてみて、◎、○、△、×などリードに目印をペンで書き、自分でわかるように分類する。

    良いリードとは

    息が良く入る(息がつまらない)
    全音域が均等に鳴る
    良く響いて、心地よい抵抗感がある

 以上のように分類できたら使えるリード(一箱中3〜4枚くらいかな)を市販のリードケースなどに移します。
選にもれたリードは、箱にもどし、保管しておいて後日もう一度試奏します。改めて吹くと良い状態へと変化しているものもあるからです。
 この段階でリードを削って調整する方法もあるのですが、回を改めて書いてみたいと思います。


 リードは植物(ケーンと呼ばれる葦)ですから、常に状態が変化します。特に新しいうちは長時間吹くと、植物繊維が水分で膨張し響きにくくなります。
選んだリードは少しづつ慣らし吹きをしていきます。この間に
◎や○だったリードが△に降格したり、逆の事態も起こってきます。早く安定させる為に指の腹でリードの表面をこする、という手もあるのですが、音色が硬くなってしまうので私はあまり好きではありません。

 安定してきたら、さらに分類し、最高!というリードは「神様リード」と命名し、スタジオ録音などの重要な仕事以外では使わないようにキープしておきます。
そのほかの良いリードは、絶えず5〜10枚くらい用意して普段の仕事用にローテーションさせて使います。私はミュージカルなどのアンサンブルの仕事が多いので毎日のようにリードをチェックし、出来るだけ同じリードを使いつづけないように注意しています。

 こうして選んだリードもいつの日か、鳴らなくなったり、息がつまるように感じるようになってきます。
植物繊維が下唇の圧力で徐々にひしゃげたストローのように潰れていくからです。
こうなってしまったら、迷わずごみ箱行きです。

 同じリードを使いつづけると、このようないわゆるバテたリードに気づかずにアンブシュアーを調整してしまうようになってしまい、ひいてはアンブシュアーを壊してしまいます。充分な注意が必要です。


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