第5回 タンギング(基礎編1)

 サックスを演奏する上で一番大切な基本テクニックがタンギングです。しかし、タンギングをしているときの舌の状態は、当然ながら自分では見ることができません。良いタンギングが出来ているかどうかは、客観的に自分の音を聴いて判断しなければなりません。


タンギングのイメージとシラブル・・・楽に速く

 楽器を使わずにイメージ・トレーニングしてみましょう。上の歯の裏に舌が当たるように言葉を発音してみます。普通は50音の「タ行」のタを発音します。なるべく速く「タタタタタタ…」と言えるようにします。テンポ120で16分音符のリズムで言えれば(1秒間に8回ですね)大変速いといえます。この位を目標に定めましょう。

 もちろん、「タ」以外の発音でもかまいません。舌が歯の裏に当たるのは、「サ行」「ザ行」「タ行」「ダ行」「ナ行」「ラ行」です。色々試してみてください。実際に楽器を使って吹いてみると微妙に音色が変化するのが良くわかると思います。

 このように発音するときの口腔と舌の状態をあらわす言葉をシラブルと言います。
さらに、母音と子音に分けて考えてみてましょう。私は、母音は口腔及び喉の状態を、子音は舌のあたる面積を、それぞれ象徴していると考えています。
 ジャズではよく「ドゥーダ」というシラブルを使います。大切なことは色々なシラブルを使い分け、多彩なタンギングと音色のヴァリエーションを持つということです。

基本練習

 最初に、音を出す時と、切る時に必ずリードに舌を当てておく習慣をつけましょう。基本的には、なるべくリードと舌との接触する面積が少ないほうが、きれいな発音が出来ます。

 まず、音が出ないように軽く息を吹き込みながら(息を止めないように)舌をリードに当てるだけの練習をします。
次にノーマルトーンでロングトーン(実際に音を出して)しながら同じようにタンギング出来るように練習します。イメージトレーニングと実際の演奏とのギャップを少しでも埋めていくようにメトロノームを使ってすると良いでしょう。

 ポイントは、音がブツ切れにならないようにすることです。なるべくなめらかに、レガート(スラー)に近い表現ができるようにしましょう。また、各音の出だしにアクセントがついたりしないようにも注意してください。
 喉だけで、「フッフッフッ」のように息を切って演奏している人も良く見かけます。こうなってしまうとその人には表現力の進歩は望めません。このような悪い癖がつかないように気をつけて練習してください。


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