第6回 タンギング(基礎編2)
タンギングのことを昔はよく「舌突き」と言っていましたが、この言葉はサックスなどのリード楽器にはあまりふさわしくありません。しいて言うならば「舌離し」とでも言うべきでしょう。
きれいなレガート・タンギングがマスターできたらスタカートの練習をしましょう。スタカートはよく誤解する方が多いのですが、たんに音を短く切るだけです。アクセントがついてしまったりしてはいけません。普通のタンギングで発音時間を短くしていきます。
スタカートの基本的なシラブルは「タッ」です。「タ」の部分でリードから舌が離れ、「ッ」で戻します。
- メトロノームを使って、テンポ80位で4分音符のレガート・タンギングを練習します。
(シラブルは、「ターターターター」なるべく音と音の間があかないように)
- 息を止めないで、徐々に「タッ」というシラブルに近づくように発音時間を短くしていきます。「ッ」とリードに舌が当たっている時にも息は止まらずにリードに圧力がかかっています。
(この「ッ」の状態が、マウスピースをくわえて発音する直前の状態と一緒です)
- これで次に「タ」と舌を離せば、またすぐに音が出るわけです。
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ポイント(音のイメージ) |
突然ですが、羊羹を連想してみてください。長方形の立方体です。あなたは包丁を持ち、まず4等分に切り目を入れます。次に、これでは少し大きくて食べにくいのでさらに半分の大きさに切って、ひとつおきに取り出しました。
もうお分かりですね!切り目のない羊羹は、1小節のロングトーンです。羊羹のように常に同じ太さでボリュームの変化などがあってはいけません。
包丁は、舌です。4等分の状態は4分音符のレガート・タンギングに当たります。(羊羹はまだ切り離されてはいません)さらに半分の大きさに切って、ひとつおきに取り出した状態が、4分音符のスタカートになるわけです。
常に同じ太さで一定の音を出す、実は、これが結構難しいことなのです。
息の支えをしっかりとさせておくことも大事です。このようなイメージを持ってタンギングとスタカートの練習をすると良いでしょう。