第10回 姿勢について

 呼吸法のトレーニングや、実際の演奏をおこなうにあたって、以外と忘れてしまうのが姿勢です。「正しい姿勢」や「良い姿勢」とは、いったいどんな姿勢なのでしょうか?


「姿勢を正す」は背骨から

 まず素朴な疑問です。背骨とはどこからどこまでをさすのでしょうか?
上は?そう、頭蓋骨の中心部から、下は尾骨(尾てい骨)までですね。

 この背骨(脊柱)という部分は、多数の脊椎の連結からできていてしなりはするのですが、曲がりはしないのです。
ですから無理に曲げようとしたり、長い時間しならせたまんまでいると、肩こりや腰痛などという症状を引き起こすわけですね。

 今これを読んでいるあなた、首を前に出して読んでいませんか?そうなのです。首といわれる場所も脊柱の一部ですから、首を曲げるのも背骨を無理して曲げているのです。だからパソコンは肩こりの原因になるのですね。
正しい姿勢は、背骨を伸ばして頭(頭蓋骨)だけが少し下を向く、になるわけです。

 では、立ってみてください。イメージは身体検査の身長測定を思いだして下さい。できれば実際に背骨と頭を壁か柱につけ胸を張って、自分が一番大きく見えるようにしましょう。
 そしてゆっくり深く息を吸いましょう。どうですか?腹式呼吸しているでしょう!

正しい姿勢ではちゃんと腹式呼吸が出来るようになっているのです

 さあ、ではサックスを持ってみましょう。もちろんこのままではマウスピースをくわえにくいですから頭だけを少し下を向かせます。いつもと全然違うでしょう?でもこれが理想の姿勢なのです。ストラップもいつもよりだいぶ短くなりますよね。

ということは、ふだん皆さんが吹いているときはだいぶ猫背になって、首を曲げてマウスピースをくわえにいっているわけですね。


次に、いすに座った時はどうでしょうか?
基本的には立っていた時と同じように座れればOKなのですが、ポイントが2点あります。

  1. サックスは体の右側に構えますから、首を左右に傾けたり体をねじらずに、ネックやマウスピースの角度を自分の体に合うように調節して下さい。
    よく座る時にストラップを長くする人がいますが、もうお分かりでしょうがダメですね。座っても背骨の長さは変わりません。

  2. お尻の両方のほっぺたのあたりに坐骨(ざこつ)と呼ばれる骨があります。必ずこの坐骨の上に座りましょう。尾骨の上に座るとリラックスはしますが、背骨は曲がってしまいます。
    そして、いつでもいすから立ちあがれるようなつもりでやや重心を前にかけます。足は腰の幅で両足そろっていなければ立てませんよね。ひざが90度に曲がるくらいの椅子が演奏に適したものであるといえます。

これが座ったときの正しい姿勢です。


 ここまで実際にやってみると正しい姿勢とは、以外とキープするのが難しく、しんどいなと思った方が多いのではないでしょうか?

そうなのです。正しい姿勢とは慣れないと結構つらいのです。楽な姿勢が正しい姿勢では決してありません。正しい姿勢を身に付けるには、忍耐力と精神力が必要です。

私自身もいつも正しい姿勢で吹けているわけではありません。
絶えず、意識して理想の姿勢に近づいていくことが必要です。
お互いに頑張りましょう。


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