第18回 喉の使い方について

 サックスの演奏法というと、どうしても口周辺のアンブシュアー関連のことに気を取られやすいのですが、それと同等に大事な要因として、喉の使い方を挙げることが出来ます。
音色を生かすも殺すも、喉の使い方ひとつです。ちょっとした気を使うだけであなたの音色をレベルアップすることが出来るのです。


音は声の延長線上にある?

 皆さんの中にもカラオケ好きな方はたくさんいらっしゃることと思いますが、唄を歌うときのことをまずイメージしてみましょう。高い声を出す時や低い声を出す時、体はどんな反応をするでしょうか?

高い声:あごが上がる
低い声:あごが下がる

 こんな感じになっていませんか?無意識に唄を歌うと必ずこんなふうに体が反応してしまうと思います。しかし声を正しく響かす(発声する)ためには本当は頭部を動かしてはなりません。首が曲がると喉に圧力が加えられ声自体も細い貧弱なものになってしまうのです。

 サックスの演奏でも同じことがいえるのです。ファット・リップ奏法やサブトーン奏法で動くのは下の歯のポジションであってあごの角度が変わるわけではありません。
 では音域の変化によって体のどこで音色をコントロールするのでしょうか?そうなのです、ここで喉の話に戻ってくるわけです。

基本的な喉のポジション

 まず、最初に音作りの基本となる喉のポジションを探します。
指を押さえない、開放のC#でロングトーンしながら、「あいうえお」を順に言うつもりで喉の状態を変化させてみましょう。
 びっくりするほど音色が変化するのが分かると思います。「あ」と「お」は良く響きがあるのですが、
「い、う、え」の喉の状態ではややつまったような音色になります。

 私は個人的には「あ」と「お」の中間くらいの喉のポジションの音色が好きです。
皆さんも是非お試しください。基本的には喉を開いた(あくびのような)状態で、リラックスして吹けて、音が良く響く状態を探します。

音域による喉のポジション変化

 これは具体的に文章で表現するのは、非常に困難です。変化するさまを、皆さんに実際に感じて頂かねばなりません。
 2オクターブのCMajorScale(低音のドから高音のドまで)を吹きながら、一定のボリュームで吹けるように注意して、喉の状態を観察してみて下さい。喉の感じは音域によって微妙に変化していくはずです。頭の中で音名を唄いながら試して下さいね。

各音には、その音固有の喉のポジションが存在すると思ってください。
サックスでメロディーを唄うためには、指を動かすだけでなく、本当に声で歌うような気持ちと喉の動きが伴なわねばならないのです。逆に喉のポジションをしっかり把握してしまえば、音色は充実し、音程もしっかりとしてくると言えます。

グリッサンドやベンドなどもアンブシュアーの変化よりも、喉の変化によるところが多いです。
フラジオはいわゆる「裏声(ファルセット)」の発声と同じ喉の状態になると思うとより出やすくなります。
喉に関しては、イメージをお伝えすることしか出来ないのが残念です。でも、これらのことを頭のどこかで覚えておいて下さい。必ず、お役に立つことと思います。


バック ホーム 次のページへ
前のページへ よもやま話のトップへ 次のページへ