第21回 フィンガリング(2)

 今回は、知っておくと便利な替え指や、運指の考え方をまとめてみました。
他にもいろんなフィンガリングがあると思います。お気づきの方、どんどんご意見をお寄せ下さいね。なお、オルタネイト・フィンガリングに関しては回を改めて取り上げます。


1.Bb(A#)の考え方

(1) (2) (3) (4)

 Bb(A#)には、上の4通りのフィンガリングが使われます。
私は(1)のものをメインに使っています。初心者の方が間違いやすいのですが、これは左手人差指1本で2つのキーを同時に押さえます。
(2)は半音階やBb-B-BbのようにナチュラルB音と隣接する場合の替え指として使います。このフィンガリングをメインと考える人も多いようですが、楽器の機構上中途半端な位置にあるサイド・キーを開けるよりも、トーンホールを順にふさいでいる(1)の方が音色、音程とも安定していると思います。

ですから、私の生徒にはb系のキー(F、Bb、Ebなど)の曲を演奏する場合や、メジャー・スケールは全て(1)の運指を用いて、最初から人差指を2つのキーの上に乗せておくようにしてもらっています。
逆に#系の曲の場合は(2)を使う場合が多い、と覚えておくと良いと思います。

(3)(4)はいずれも次のようなアルペジオ的な動きをする時に使います。
Bb-D-F-Bb (3)のフィンガリング
F#-A#-C#-F# (4)のフィンガリング

2.LowC#(Db)-G#(Ab)

 左手小指テーブル・キーの低音のC#(Db)またはB、最低音のBbから、中音のG#(Ab)へ移行する時は左手小指をG#キーに移動させるのではなく、小指はそのままのポジションをキープしたまま、右手だけを離してやります。

3.小指キーのローラーを上手に使おう

 両手の小指で操作するキーには、樹脂製のローラーがついています。これはだてについているのではありません。このローラーの上で小指を滑らせてフィンガリングを行います。低音でメロディーを吹くことはあまりありませんが、小指がキーから離れないようにしてBb-B-C#-D#-E-D#-C#-B-Bbのトレーニングをしてみてください。上手く出来るかな?

4.中音D〜Gから開放C#への移動

 上の2つのフィンガリングを見て下さい。左が中音のD、右がC#の替え指です。Dの指から左手の人差指と中指だけを離したものですね。この使い方を覚えておくと左手親指のオクターブ・キーを切り替えずにスムーズに移行することが出来ます。他のEやFでも試してみてください。クラシックでは開放C#の音程補正用としてほぼ常識化して使用されています。

5.サイドD

 ジャズ・プレイヤーの多くはメロディーを演奏する際、中音のDを左手サイドキーだけを使って出しています(実はクラシックでも多用されています)。しかしセルマーでいうとスーパー・アクション以降の楽器では上手く音程が上がりきらずにD#キーを使った方が効果的な場合もあります。ご自分の楽器で試してみてください。コルトレーンの「バラード」などでは、このサイドDの独特なトーンが随所で聞くことが出来ます。


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