第24回 ダブルタンギング

 リードを使用する楽器では、基本的にはシングルタンギング(普通のタンギング)を使って演奏するわけですが、どうしても間に合わないスピードのタンギングを要求される場合もあります。
また、スピーディーなアドリブフレーズの中に、緊張感を生む要素としても古くはチャーリー・パーカーの演奏などにも良く取り入れられています。


質問 シングルタンギングで、皆さんはメトローノームに合わせて一拍のテンポがいくつくらいまで16分音符を一小節間吹けるでしょうか?

 私が自分の生徒たちを見てきて、大体の目安として経験が一年くらいの人で90位のテンポ、ニ年で100位、三年以上で110位が平均的だと言えると思います。これ以上はなかなか出来ませんね。プロは120〜130位まで出来ないと、仕事としてはちょっとつらいです。あなたのレベルはどの位でしょうか?

 さて、ダブルタンギングですが、これは初心者の方にはあまり練習をお薦めしたくありません。あくまでもちゃんとシングルタンギングをマスターした方を対象として書いていきます。何故かと言うと、カ行の喉で息を切るシラブルを使用するからです。初心者の方には喉で切るタンギングが癖になってしまうと正しい舌で切るタンギングが身に付かなくなってしまう可能性があります。少なくとも上のテンポで100以上で16分音符を切れる位の方にトライして頂きたいと思います。

ダブルタンギングのシラブル

シングルタンギングの基本であるタ行と上で触れた喉で息を切るカ行の組み合わせを使います。

基本形はタカタカです。まずマウスピースを咥えずに、小さな声を出してタカタカと言ってみて下さい。タは歯の裏側に舌が当たりますが、カは喉で音を作っている発音である事がわかりますね?つまり、ダブルタンギングは舌で全部切るのではなく、舌と喉の動きを組み合わせた動きになるわけです。だから、シングルよりも早く切れるようになるのです。

では次に実際に楽器を吹いてやってみましょう。
いかがでしょう?上手くいきますか?最初から速く練習するのではなく、ゆっくりとしたテンポからやってみると良いと思います。出来るだけシングルタンギングのニュアンスに近づけて、均一に聞こえるようにしていくのがポイントです。最初はカ行の発音の時に音が濁ったり、強くなってしまったりすると思いますが、馴れてくると均一に出来るようになってきます。

カ行の発音がポイントです。
喉に力を入れずに、出来るだけ小さな声(出来れば無声音で)タカタカの発音だけを練習してから、楽器を持って練習して下さい。

この練習はある程度の時間がかかりますし、最初からは絶対に上手く出来ません。根気良く忘れずに練習を続けてください。私でも忘れた頃に練習すると出来なくなってしまっている事があります。やはり、継続は力なり、だなとつくづく感じます。

トリプルタンギング

 ダブルタンギングの応用で、トリプルタンギングというものも存在します。タ行の音2つとカ行の音1つを組み合わせて行います。

1.タカタ

2.タタカ

 このようにカ行の音を間にはさむか、あとにつけるかのバリエーションがあります。私は個人的には2.のタタカの方が吹きやすいです。ボレロのリズム・パターンを延々吹かされる事がたまにありますが(8分音符+半拍3連)、だいたいこのシラブルを使っています。ちなみにカ行からはじめるシラブルは存在しない、と思って頂きたいと思います。


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