第27回 新製品試奏レポート
マーカ・ジャズ・リード
上段の黒い箱がマーカ・ジャズ、下段の赤い箱はマーカ・スペリアル
今回は直接奏法とは関係ありませんが、新しいリードが発売され、いち早く試奏致しましたのでレポートしてみたいと思います。
マーカというメーカーのリードは10年位前から販売されていました。当初から使用しているケーンの質が良く、フレンチカットで腰が強いどちらかというとクラシックに向く「スペリアル」と言うタイプのリードを作ってきたメーカーです。私も一時バリトンでよく使っていました。
そのマーカからこのほど「マーカ・ジャズ」というその名前通りジャズ向けのカットを施したリードが発売になりました。
吹いてみた印象は、1.息の通りがスムーズで、全体的に良く振動する。
2.ビブラートやベンドなどリードに対するコントロールがし易く、全音域でムラの無い鳴り方をしてくれる。
3.タンギングに対するレスポンスが非常に早い。
このような感じです。
カットは一応フレンチカットなのですが、根元まで全体的に薄くカットされているので限りなくアメリカンカットに近いといえると思います。近いところでは、デイブ・ガーデラ、ピーター・ポンゾールあたりをさらに腰の部分を薄くした、という感じです。音色は大分太い音になるなあ、という印象を持ちました。これもリード全体が良く振動している事の表れではないかと思います。素材のケーンもスペリアル譲りの上質なもので、繊維の目が詰まっていて、長持ちしそうです。仕上げも丁寧で、リードの裏面(マウスピースのテーブルに接する面・・・ここが大事)もスベスベして良く研磨されているようです。
また樹皮のついている部分は大分厚みがあり、これも安定した吹奏感を生む要素であるのではないかと思いました。特にテナーでは、私はオットーリンク(NYモデル)の8番に普段はラヴォーズのMSを使用していますが、マーカ・ジャズでは3番でピッタリかやや薄めに感じました。良く合います。リンク吹きにとっては朗報と言えるでしょう。一度お試し下さい。お買いになるときはラヴォーズの硬さのイメージよりも大きい番号になると覚えておいて下さい。普段MSなら3番、Mなら3半位で合うと思います。
ちなみにJazzLife誌ではヴァンドレンと比較して薄めのものを試した方がよい、とありましたが、普段ラヴォーズやリコーなどのアメリカンカットを使っている方にとっては「MSだったら2半くらいかな」というイメージで買うと失敗しますので、ご注意下さい。
非常に良い印象を持った製品でした。
リードは音色を決定付ける上での大きなファクターですから、このように選択肢が増える事は喜ばしい事です。今後も新しい製品で皆様の興味のあるであろう物が出てくれば、また記事として取り上げて行きたいと思います。